その部屋の窓は、部屋に入るためのドアの正面にある、大きな1面だけの様子。
窓の真下にデスク、デスクの左側の壁全体が棚になっており、書籍や人形やよく分からないものが並んでいる。
右側がベッドという配置。2段ベッドの下で寝ているらしい。ベッドの上段は物置として使っているようで、大きな箱が何個か積んである。おそらく衣類だろう。
即席で用意されたとおもわれるナイトテーブル(※1)には水差しと薬関係が置かれていた。
窓のカーテンをすりぬけて走ってきた朝日がグラスに当たり、空気を読まず華やかな光芒の花を広げている。
天使は右のベッドで寝ているらしい。事前調査によると、風邪をこじらせてしまい、ぜんそく症状がひどくなったとのことだった。
ぜんそくも甘くみてはいけない。呼吸ができなくなり死んでしまう人も年間6000人近くいる。見物がてら見舞いに来た訳だが、とりあえずは落ち着いて寝ているようではある。
◆
「こーはーほーほはいはふー」
「あ、しゃべるの辛いのね。大丈夫しゃべらなくていいから」
「ほせははへはふ」
「熱は・・・あ、下がったみたいね。じゃあ、汗吸ったスウェットとか着替えておいで」
「へひ」
「で、換気ついでに、掛け布団を干してみるかな、っと、雑巾はあるかな」
「ひー、さぶいです」(以下、面倒ですので通常の発音で)
「なにしてんの?」
「ああ、着替えをとりにきたのです」
「段取り悪いよー、行く前に用意しないと」
「まだ、ぼーっとしてるんですよ」
「えーと・・・まあいいか」(※2)
◆
「すみません、休日だというのに洗濯やらご飯やら」
「病人はそんなこと気にしない。次、私が風邪ひいたら助けてよね」
「全身全霊をかけて尽くしますよ」
突然、ぜんそくの発作。1分くらい会話が中断されてしまう。
「大変、そうね」
「はい、もうくったくたになります」
「薬は・・・ああ、あんのね」
「(シュー)・・・・・ぷはー、がらがらがら、ぺっ」
「え、そんなすぐにうがいしたら薬流れちゃうんじゃないの?」
「でも、すぐうがいしろって」
「しないとどうなるの?」
「カンダタが来るらしいのです」(※3)
「そりゃ大変だね」
◆
仰向けになると咳が出やすくなるので、クッション総動員で寄りかかれる環境を作って、一日中座りながら携帯型ゲーム機で遊んでいたりします。
パソコンは閲覧程度。テレビやDVDは、いつの間にか寝てしまうので、観ていない。。
カップスープと食パンとトマトで一週間くらしていたので、友人が作ってくれた温かい料理が、とてつもなく嬉しいのです。
はやく、健康体に戻りたいです。
◎追記(読み返したら、説明不足っぽいので)
※1:積み上げた書籍と画板でできています。
※2:健康体だったとしても、さほど変わりはなかろうと突っ込みたかったのだが、病人ゆえ取りやめたのだと推測します。
※3:これは高度なバネジョークだったのですが、スルーされたという。